宮崎のひや汁  

冷や汁

ひやじる(冷汁・冷やし汁)の起源は記録が残っているので、この種の料理としては割とはっきりとしています。 起こりは鎌倉時代。「鎌倉管領家記録」に記述があり、僧侶が各地に広めた事になっています。

内容は飯に味噌汁にぶっかけ飯。
通常は温かい飯と汁のコンビですが、これは冷たい汁をかける料理。

やったことのない方は「え~まずそう」って感じかも知れませんけども、暑い夏に冷蔵庫で冷やした残り味噌汁を冷めたご飯にぶっかけて食べますと、不思議な食感があるんですよ。

冷たいので、汁がご飯にそれほど浸透せず、「ちょうど夏向きの染み加減」(どんな加減でしょうか 笑)、になり、これを流し込むようにガガガって感じでかっ食らう。

外で遊びまわり、あるいは部活で汗だく(かつ脱水、熱中症寸前)になって家に帰り、台所を物色して、味噌汁とメシが残っていると、喜んでコイツを作りガバガバ食ったもんです。

だって汁をかけるだけで即食えますからね。即席ラメーンよりも早く食える。ドンブリ鉢の三杯とか四杯とか、とにかくメシがあるだけ全部喰っちゃう。ごめんなさい母さん(笑)

ちなみに中年を過ぎた人は、絶対に同じことをしてはダメ。成長期で、しかも激しい運動をする者限定でしょうね。普通の人はせいぜい鉢の一杯にしておきましょう。

宮崎の 「冷や汁」も簡単に言えば「味噌汁ぶっかけ飯」なんですが、その作り方は上のヤツと異なり結構手がこんでおります。

アジやイワシ等の近海魚を焼いてほぐし、これに味噌や胡麻を混ぜて擂鉢で当たります。ここまでは所謂「魚味噌」です。

これを薄く延ばし香ばしく焼き上げ、冷ました出汁でのばしながら手で潰した豆腐、胡瓜、茗荷、打ち紫蘇などを混ぜ込み、この汁を冷たいまま麦飯にかけて食べるというもの。

冷汁の作り方
(一例)
(1)アジの小骨を焼いて、それでダシをとる
(2)炒ったゴマと煮干しに味噌を加えて当たる
(3)当り鉢ごと火にかざして炙るように焼く
(バーナーを使うことがあるが、直火は風味を損なうのでやめた方がよい)
(4)(3)に冷やした(1)を加えて混ぜのばす
(5)豆腐と青味を加えてご飯にかける


宮崎の郷土料理【冷や汁】

料理としての捻りが充分になされていると思いますし、実際美味しいですねこれは。深川丼の原型である単純な「味噌汁ぶっかけ飯」よりも明らかに洗練された料理法です。

各地に冷や汁と似た漁師料理

この「冷や汁」が宮崎県の代表的な郷土料理になっているのは「鎌倉管領家記録」に記された料理に一番近い形を保っているからだとされますが、「僧侶によって全国に流布され」とあるように日本各地に「冷や汁」らしき料理は残っております。

自分は千葉とか各地の漁師町で食べた事がありますし、埼玉でも普通に食べられます。 北関東や東北地方にもこの料理はありますので、「鎌倉発祥陸上伝播ルート」は確かな話かも知れません。

瀬戸内海周辺の諸県に、「さつま」と呼ばれている料理がありまして、この内容はほとんど「冷や汁」と同じです。

「ひゅうが」ではなく「さつま」という名が付いたのは素直に考えれば薩摩から伝わった事になります。

初代島津氏の鎌倉時代から(それ以前も)、明治初期まで、日向と薩摩は渾然一体な部分が多かった事を考え合わせれば曖昧な話になってしまいますけども、この「さつま」は明らかに漁師料理でその伝播は「海上黒潮ルート」だったんじゃないでしょうか。

面白いのは鹿児島、宮崎の漁師からこの料理を教わり、「さつま」の名で定着している愛媛宇和島。 ここが薩摩揚げに酷似した「じゃこ天」の発祥となっている事です。

「じゃこ天」は宇和島藩初代藩主・伊達秀宗が始めたという記録がありますが、これも史実になっている「陸路伝播説」よりも「漁師海路系」がなにやら事実に近いような気がしたりします。

レタス巻き

この30年くらいの間に寿司業界(とくに回転)で広まったのが【サラダ巻き】という海苔巻き(中巻き)。

レタスにマヨネーズ、ネタはエビとかカニ棒とか。バリエーションは色々でチーズを加えたり裏巻きにしたり。 アボガドが入るとカリフォルニア何とか。

もちろん手巻きでも可能。まぁ色々と工夫しやすいので世界にまで広まった感じですな。

実はこれの発祥は宮崎です。

松山町にある寿司屋、『一平』の初代主人が昭和41年に考案した【レタス巻き】が原型なんですよ。 サラダ巻きはそのバリエーションなんです。

日南市の魚饂飩(ぎょうどん)

白身魚のすり身を「魚そうめん」にするのは珍しくありませんが、日南市周辺の郷土料理である「魚うどん」は他所ではあまり見られません。

これは戦時中の食糧難の時に発案された料理だと云います。
原料はトビウオの身です。

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