和食器の模様  

器の文様・加飾・絵柄

 

和食器の文様は日本古来の吉祥文様、有職文様(公家の様式)から四季の動植物や景色を描いたものと、素地や釉薬の特性を引き出したものまで多種多様です。織物などのように複雑精緻な絵柄はあまり多くはなく、焼物の持つ土の魅力と融合する事を目的としている様に感じます。金襴手のようなものは例外と言っていいでしょう。

ひと口に文様といっても、技法、様式、釉薬による模様、加飾による模様など色々です。それに製作者の好みによる絵柄が加われば、とても全てを紹介するのは不可能です。したがって代表的なものに絞ってあります。



染付と絵付

染付

伊万里や色鍋島などを除き、一般に絵付けは「下絵付け」と「上絵付け」の手順をふみます。乾燥させた生地を一度素焼きにしてから下絵付けし、透明釉をかけ高温で本焼きします。このときに酸化コバルト(呉須)で絵付けをしたものは見事な「藍色」に発色。これが『染付』と呼ばれるものです。

染付と古染付

多くは筆書きで絵付けされますが、印判、吹墨、などのような手法を使ったものもあります。

吹墨

印判 ☆呉須濃み ☆墨弾き ☆安南手

また、この下絵付けが鉄絵具ですと茶褐色・黒褐色に発色し、絵唐津や織部などに見られる鉄絵になります。

鉄絵(さび絵)


酸化鉄ですと紅色に発色、これは釉裏紅と呼ばれます。

釉裏紅

絵付

本焼きした後、釉薬の上に模様を描くのが上絵付け。
赤絵、色絵、三彩、五彩、銀襴手、金襴手などです。

☆日本初の赤絵:濁手と柿右衛門 | 京焼の華・仁清手

器の文様

吉祥文様

吉祥は字面で言えば「良いしるし」ということ。
つまり、おめでたい様子を表す瑞兆文様です。

動植物・自然風景・幾何学文様・その他

文様と紋様

一般的な絵柄は通常【文様】と表記します。ですが料理書や器の本に時々【紋様】という字があります。紋は紋所(もんどころ)、つまり家紋の事です。皇室の家紋である「十六八重菊」や徳川家の「葵紋」が代表ですね。平安時代が起源の家紋は数えきれないほどあります。昔から家紋に権利は認められることはありませんが、やはり徳川家や皇室の家紋をそのまま使う家はありません。器に使われるものは、いわゆる「通紋」が多くなります。「フリー」という意味に近いでしょう。よく見かける「藤」「桐」「鷹の羽」「木瓜」「片喰」を五大紋と呼びます。
家紋ギャラリー(図柄で見る日本の家紋)
ちなみに、「文様」というのは本来「規則性のある図形」の事を指します。ですが、日常的には広義の模様のことを文様と表現しても支障ありません。

器の加飾手法

釉薬技法

無釉・自然釉

装飾技法

普段使いと祝いの器は使い分ける☆

吸物椀、煮物椀に関わらず文様には気をつけましょう。正月に使う文様に決まりがある様に、春夏秋冬それぞれの文様があります。
独楽、蓬莱、松菱、鶴絵、不二絵、塗り分け、霞など典型的な正月文様、丹頂鶴、松竹梅、蓑亀などの吉祥文様は祝席でも使える場合もありますが、普段使いは出来ないものです。同様に春に芒紋とか水の夏に菊紋は使えません。

これらの事から、料理屋においても家庭にても、使いまわせる文様か無文、あるいは加飾を選ぶことです。使い回せる文様としては「有職文様」とか季節を超えた絵柄や、一般的な吉祥文が良いでしょう。四君子などの絵柄です。

分からなければ購入時に「文様の意味と使う時期」を必ず尋ねること。器に描かれる絵柄には基本的に不吉なものはありません。紋は主に吉祥ですし絵は花鳥風月が多いです。よく分からない場合は無地や明らかに季節と無関係な図柄などを使えば無難です。

模様の起源

文様の起源、それはどこまで遡れるかまったく分かりません。 あえて忖度するなら狩りの成功や安産祈願、豊作を願う太陽信仰。 そうした事から始まったのでしょうか。人類が知性らしきものを得て以降の歴史があるんでしょうね。狩りというのは獲物に悟られない様にするフェイスペインティングで、こうした「実用」から、やがて「祈願」「宗教」などと絡まっていったのだと思います。


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