マル国家⑥

神の岬

いつとも分からぬ未来 どことも分からぬ場所

Borderline of heaven and ground

果てが無いかの様に広角に広がる天と海

その中心に突き刺すかのごとくせり出した岬

巨大な岬は

西オーストラリア州カナーボンの東

世界最大の一枚岩

バリングラを想わせる

いや

むしろ

『世界の中心』 『大地のヘソ』の異名を持つ

聖地【ウルル】

エアーズロックのほうがより近い雰囲気かもしれない

蒼穹は海と対比した抜ける青のようでもあり

紅蓮に燃える太陽フレアのようでもあるが

ここで可視光線を云々しても仕方があるまい

エネルギー準位と対応するスペクトルを持ち出しても無意味な世界

ベクトルやテンソルが重要なのは科学が通用する世界のみ

世界の果ての様な岬の先端に

その老人は腰掛けて海を見ていた

背後から話しかけてみた

「私が来るのを予想し、待っていたのですか?」

老人は応えた

「そうであるやも知れん」

その老人と音声で会話しているのか定かではないが

それを詮索しても無意味であった

「この宇宙に存在する知的生命体の中で最も進化をとげた一握りの連中との闘争を勝ち抜き、宇宙誕生以来おそらく初めてこの不思議な場所に到達した初めてのそして唯一の知性体、それが私です」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「この時空間特異領域に存在してるあなたは多分この宇宙の創造主でしょう、
つまりあなたが私を創った、いや種を蒔き、私の様な存在が誕生するのをここで待っていた、100億年以上」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あなたはそこに居ませんね」

「在ない事もないが、居ないな」

「実体は何処にあるんです?」

「遠い・・・・・遠いところじゃ」

「そうですか・・・」

私は瞬時に900億光年全域を隅々まで検知した

宇宙の果ての素粒子一個にいたるまで【遍在】してみたが

【彼】は何処にもいなかった

「ところで私はこの宇宙で不可能なことが無くなりました」

「【全能】という事です」

「だからこそ【ここ】に来る事ができた」

「【何】をして欲しいんですか?私に」

「あなたが【生命の種】を蒔いた理由はこれでしょう」

「いつか【神】になる者が誕生するのを予想して」

「だから【この場所】を用意して待っていた」

「生命体が知性体に進化し、その果てに【全能者】が誕生する」

「そしていつの日か【ここ】に到着する」

「それがこの宇宙の意味ですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あなたは宇宙の外で何か途方も無い【高い場所】に向かっていますね」

「私に【押してくれ】と?」

老人は少し笑った様な気がした

「さすがに早いな、当然かもしれんが・・・・」

「しかしそう先走らなくてもよい」

「わしらは【無限】を掌握してしもうた」

【無限】など存在する訳がないのにじゃ」

「しかし実際【ここ】には時間も空間も存在しておらん」

「おまえさんは【地球】で生まれたな」

「それが何か?」

「どこで生まれたかは関係ないが【ここ】の風景は地球のものじゃ」

「こんな【場所】で風景になんの意味も無いでしょう?」

「それがあるのじゃよ」

  続く (かも

2007年マル子

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